放射線管理士に関する報告

 平成13年11月11日に開催された、平成13年度石川県放射線技師学術大会において発表いたしました「放射線管理士と石川県の現状」及びその後の放射線管理士部会の発足等の概要について報告いたします。平成14年4月29日作成。

1.はじめに

 平成11年9月30日に株式会社ジェー・シー・オー(JCO)ウラン加工工場において発生した臨界事故(以下「JCO事故」という。)は、安全確保を大前提に原子力の開発利用を進めてきた我が国にとって、3名の作業員が重篤な放射線被ばくを受け、2名が亡くなられる等前例のない大事故となった。事故や災害の対応の上で最も優先されるベきは人命の救助であるという視点から見て、今回の事故から学ぶべきことは多く、緊急被ばく医療の充実強化を図ることが痛感された。
 JCO事故以降、この事故の対応の反省を踏まえて、初期対応の迅速化、国及び地方公共団体の連携強化等を柱とする原子力災害対策特別措置法が制定施行され、「原子力施設等の防災対策について」が改訂された。(平成13年6月、「原子力安全委員会・原子力発電所等周辺防災対策専門部会の緊急被ばく医療のあり方について」の冒頭文より抜粋)

2.

 平成13年度の緊急時被ばく医療「石川フォーラム」モジュールA、B、C'が原子力安全協会及び石川県によって平成13年度に3回開催され、石川県放射線技師会(放射線管理士等)からも多数参加しました。

3.

 国等(原子力安全協会等)の対策と平行して、診療放射線技師の団体である石川県放射線技師会においても、診療放射線技師として、緊急時被ばく医療に的確に対応しうる人材として、石川県放射線技師会として放射線管理士を組織化し、対応してゆくこととしています。(平成13年12月4日に放射線管理士部会を10名で発足)

4.

 日本放射線技師会が開催している放射線管埋士認定講習会専門課程のカリキュラムは、(1)放射性廃棄物処理法、(2)医療被ばくの最適化、(3)心身医学、(4)緊急医療と除染技法、(5)環境施設除染技法、(6)集団心理学、(7)除染の実際、(8)放射線災害の事例と教訓、(9)被ばく線量推定�(外部被ばく線量)、(10)被ばく線量推II(内部被ばく)、(11)臨床心理学、(12)パニックの心理学、(13)放射線災害の実際、(14)放射線災害での人体への影響、(15)災害時の救命救急法、(16)原子力施設、(17)空気の流れについて等です。法令過程を終了している方は、平成14年度以降の講習の機会に、是非とも専門課程の受講を検討することをお願いします。

5.

 緊急時被ばく医療に、診療放射線技師としてこれに的確に対応しうる人材として求められているものは、放射線管理の専門家としての資質の向上であり、その実践であります。
 例えば、放射線測定に関すること、除染に関すること、放射能汚染の拡大防止に係る養生(;汚染拡大防止のための資機材の準備)等の対応に関すること、医療機関の中の「初期被ばく医療機関におけるマニュアル作成への参画と診療放射線技師の役割の明確化等」です。

6.

 北陸電力志賀原子力発電所の放射線管理要員等と放射線管埋士との協力体制の構築に関すること。

7.

 緊急時被ばく医療に関する研修会(サマーセミナー等)の開催及び訓練(放射線測定の実習等)を実施すること。

 以上、2~7について、診療放射線技師として、又放射線管埋士部会として、社会への働きかけとして、平成14年度以降取り組む予定です。